【外国人採用のステップ】(1)採用計画の立て方
2024.12.26外国人労働者を採用する際には、計画的な準備が欠かせません。適切な採用計画を立てることで、企業が求める人材を確保できるだけでなく、外国人労働者の能力を最大限に活かすことが可能になります。本稿では、「採用の目的を明確にすること」と「採用条件を適切に設定すること」の重要性について詳しく解説します。
1. 外国人採用の目的を明確にする
目的の設定が成功の鍵
外国人採用の計画を立てる第一歩は、「なぜ外国人労働者を採用するのか」を明確にすることです。この目的が曖昧だと、採用活動全体がブレる可能性が高くなります。目的を設定する際には、以下のような具体的な観点を考慮しましょう。
よくある目的例
- 労働力不足の解消
- 製造業、農業、介護など、特定分野での人手不足への対応。
- 専門スキルや知識の活用
- ITエンジニアや研究開発職など、高度なスキルを持つ人材の確保。
- 多様性の推進
- 組織のグローバル化や新しい視点の導入を目指す。
- 海外展開の基盤づくり
- 現地の市場理解や海外顧客とのコミュニケーション強化。
明確な目的設定のメリット
- 採用後の適切な配置が可能になる。
- 求人情報に具体性が増し、応募者が適切な期待を持てる。
- 採用活動全体の効率が向上する。
2. 採用条件を明確にする
採用条件の重要性
採用条件とは、どのようなスキルや経験、性格の持ち主を必要としているのかを明確にするものです。条件が曖昧だと、必要な人材を見極めるのが困難になります。
採用条件設定のステップ
- 業務内容の明確化
- 外国人労働者が担当する具体的な業務をリストアップします。例:「顧客対応(英語)」「プログラミング(Java、Python)」など。
- スキル要件の定義
- 必須スキルと歓迎スキルを明確に分ける。例:「ビジネスレベルの日本語能力(必須)」「母国語でのネイティブスピーカー(歓迎)」
- 言語能力のレベル設定
- 日本語能力試験(JLPT)のレベルなどを基準に設定。例:「N3以上」や「N1必須」など。
- 在留資格要件の確認
- 特定技能、技術・人文知識・国際業務など、業務に適した在留資格が必要です。
- 性格やソフトスキルの要件
- 例:「チームでのコミュニケーションが得意」「文化の違いを受け入れる柔軟性がある」
条件設定時の注意点
- 現実的な条件設定
過度なスキルや経験を要求すると、応募者が集まりにくくなります。優先順位を明確にし、必要最低限の条件に絞りましょう。 - 公平性の確保
特定の国籍や背景を不当に優遇・排除しないよう配慮が必要です。
3. 採用計画に含めるべきポイント
募集スケジュールの策定
外国人採用には、在留資格の取得や住居の手配など、日本人労働者を採用する場合よりも多くの準備が必要です。そのため、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。例えば、以下のステップを考慮します。
- 募集開始と応募期間
- 求人情報を公開し、応募者の募集を開始する。期間は2~3か月が一般的です。
- 選考プロセス
- 書類選考、面接(オンライン含む)、適性検査などを実施。
- 在留資格の申請
- 雇用が内定した後に、在留資格認定証明書を申請します(通常1~3か月)。
- 入社準備期間
- 入社前の研修や住居手配、職場環境の調整を行います。
予算の設定
外国人採用には、求人広告費、面接費(場合によっては渡航費)、在留資格申請費用などのコストが発生します。これらを事前に見積もり、採用計画に反映させましょう。
リスク管理
- ビザ申請が遅れる場合に備え、予備の対応案を用意する。
- 採用後の定着を目指し、フォローアップ体制を整備する。
4. 採用計画を成功させるためのポイント
ステークホルダーとの共有
採用計画は、採用担当者だけでなく、現場のチームや経営陣とも共有し、意見を取り入れることが重要です。これにより、現場のニーズに合った計画が策定できます。
柔軟な対応
採用活動は計画通りに進まない場合もあります。スケジュール変更や条件見直しなど、柔軟に対応できる体制を整えておきましょう。
専門家の活用
外国人採用が初めての場合、ビザ申請の手続きや適切な雇用条件の設定に不安を感じることがあります。このような場合は、行政書士や外国人労働者支援機関などの専門家を活用するのがおすすめです。
まとめ
外国人労働者を採用するためには、明確な目的を設定し、具体的な採用条件を設けた上で計画を立てることが重要です。採用計画の段階で十分な準備を行うことで、適切な人材を確保し、企業の成長に貢献する外国人労働者の活躍をサポートすることができます。採用活動がスムーズに進むよう、綿密な計画を心がけましょう。