HAL便り

【外国人採用のステップ】(5)初めて外国人を採用する企業へ

2024.12.27

外国人労働者を初めて採用する企業にとって、法的手続きや言語・文化の違いに関する不安は少なくありません。しかし、しっかりと準備を行い適切に対応することで、外国人労働者の能力を最大限に活用し、企業の成長につなげることが可能です。本稿では、外国人を初めて採用する企業が注意すべきポイントや役立つリソースについて具体的に解説します。


1. 外国人雇用の目的を明確にする

目的設定の重要性
外国人を雇用する目的をはっきりさせることは、採用計画全体の基盤となります。目的が不明確な場合、必要なスキルや人材像を的確に見極めるのが難しくなります。

よくある目的例

  • 労働力不足の解消(特定技能や技能実習生の活用)。
  • 高度な専門スキルを持つ人材の確保(ITエンジニアや研究職)。
  • 企業のグローバル化や多様性の推進。
  • 海外市場展開の足掛かり。

アクションポイント
採用する職種や求めるスキルを明確化し、それに応じた雇用計画を立てましょう。


2. 法的手続きと遵守事項を理解する

在留資格の確認
外国人労働者が日本で適法に働くためには、適切な在留資格を持っている必要があります。採用前に必ず在留資格を確認しましょう。

よく利用される在留資格

  • 技術・人文知識・国際業務
  • 特定技能
  • 技能実習

不法就労を防ぐために
在留資格に適合した業務内容を明確にし、資格外活動許可が必要な場合は速やかに手続きを行います。また、外国人雇用状況の届出をハローワークに提出することも忘れないようにしましょう。


3. 言語の壁を越えるための工夫

採用時のポイント
外国人労働者を採用する際、業務に必要な言語レベルを明確に設定します。たとえば、日常会話程度の日本語で対応可能な職種もあれば、ビジネスレベルの日本語能力が求められる場合もあります。

サポート体制の構築

  • 翻訳ツールや多言語対応のマニュアルを準備する。
  • 社内で日本語教育を提供するプログラムを導入する。
  • 日本語が堪能な社員がサポート役を務める。

コミュニケーションの改善

  • シンプルな表現を心がける。
  • ジェスチャーや視覚的な説明を活用する。

4. 異文化理解と職場環境の整備

文化的な違いを受け入れる
外国人労働者は、日本の文化や職場のルールに不慣れな場合が多いです。一方で、外国の文化に対する日本側の理解も必要です。異文化理解を深めるために、次のような取り組みが有効です:

  • 異文化トレーニングを社内で実施。
  • 食事や宗教的な習慣に配慮した環境を整える。

柔軟な対応

  • 祈りのためのスペースを提供する。
  • 海外の祝日に配慮する特別休暇制度を検討する。

5. フォローアップ体制を構築する

定期的な面談の実施
外国人労働者が業務や生活に問題を感じていないかを確認するために、定期的に面談を行いましょう。

生活面でのサポート
初めて日本で生活を始める外国人労働者の場合、住居の手配や地域情報の提供など、生活面でのサポートが必要です。

  • 地域の公共サービスの利用方法を説明する。
  • 医療機関や銀行の利用方法を教える。

キャリア支援の提供
長期的に勤務してもらうためには、スキルアップの機会やキャリアプランの提示が重要です。たとえば、以下のようなプログラムを検討しましょう:

  • 日本語能力の向上支援。
  • 職場内での昇進機会の提供。

6. 活用できるリソース

行政機関や公的支援

  • ハローワーク:外国人雇用の相談窓口や求人情報の提供。
  • 出入国在留管理庁:在留資格に関する手続きの相談。

外国人支援団体

  • 外国人労働者支援を目的としたNPOや地域団体を活用する。
  • 通訳や生活支援サービスを提供している団体を紹介する。

専門家の活用

  • 行政書士や外国人労務管理の専門家に相談し、適切な手続きを進める。

7. 小さく始めて経験を積む

初めて外国人を採用する場合、いきなり多くの人を雇用するのではなく、少人数から始めることをおすすめします。これにより、トラブルが発生した場合でも柔軟に対応でき、社内で外国人労働者の雇用に関するノウハウを蓄積することができます。


まとめ

初めて外国人を採用する企業にとっては、不安や課題が多いかもしれません。しかし、採用前の計画と手続き、採用後のサポートをしっかりと行うことで、外国人労働者の能力を十分に引き出すことができます。異文化理解を深め、働きやすい環境を提供することで、外国人労働者と企業の双方にとって良い雇用関係を築くことができるでしょう。