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【外国人雇用の概要】(6)知っておくべき重要な用語

2024.12.26

外国人労働者を雇用する際には、関連する用語や制度について正確に理解しておくことが重要です。これらの知識が不足していると、適切な雇用契約の締結や法令順守が困難になり、トラブルが発生する可能性があります。本稿では、外国人雇用に際して知っておくべき重要な用語について解説し、それぞれの意味やポイントを詳しく紹介します。


1. 在留資格(ざいりゅうしかく)

概要
在留資格とは、外国人が日本に滞在し活動するための法的な資格を指します。日本では、就労可能な資格とそうでない資格が存在し、在留資格に応じて従事可能な職種や活動が制限されています。

主な種類

  • 就労可能な在留資格
    • 技術・人文知識・国際業務
    • 特定技能
    • 技能実習
    • 経営・管理
  • 就労が認められない在留資格
    • 留学
    • 家族滞在(例外的に資格外活動許可を得た場合を除く)

留意点
雇用主は、採用する外国人が持つ在留資格が雇用予定の業務内容に適合しているかを確認する必要があります。不適合な場合、不法就労として処罰されるリスクがあります。


2. 特定技能(とくていぎのう)

概要
特定技能は、2019年に創設された新しい在留資格で、人手不足が深刻な分野での外国人労働者の受け入れを目的としています。

特定技能1号と2号の違い

  • 特定技能1号
    • 対象業種:14分野(例:介護、建設、農業、飲食料品製造業など)
    • 在留期間:最大5年
    • 家族の帯同:原則不可
  • 特定技能2号
    • 対象業種:建設、造船・舶用工業(2024年に拡大予定)
    • 在留期間:更新可能(無期限)
    • 家族の帯同:可能

留意点
「特定技能1号」では、一定の日本語能力や技能水準を満たす必要があります。雇用主は試験合格者を対象に適切な労働条件を提供する義務があります。


3. 技能実習(ぎのうじっしゅう)

概要
技能実習制度は、発展途上国の人材育成を目的として、外国人が日本で技能を習得するための制度です。ただし、技能実習生は研修を目的とするため、労働力として活用することが主目的ではありません。

主な特徴

  • 対象業種
    建設、農業、漁業、繊維工業など約80の業種が対象です。
  • 在留期間
    最長5年間(技能実習1号・2号・3号に分かれています)。
  • 管理団体の関与
    技能実習生を受け入れるには、監理団体または企業単独型実習を通じて手続きを行う必要があります。

課題
技能実習制度は、人権侵害や不適切な労働条件が問題視されることがあり、適切な運用が求められています。


4. 永住権(えいじゅうけん)

概要
永住権は、日本において期間の制限なく滞在できる資格を意味します。就労や居住においてほとんど制限がなく、日本人と同様の権利を享受できます。

主な要件

  • 継続的な滞在
    通常は10年以上の継続的な滞在が必要ですが、特定の条件下(高度外国人材や日本人配偶者など)では短縮されることがあります。
  • 安定した収入
    安定した収入や資産があることが求められます。
  • 素行が善良
    法令を遵守し、社会秩序を乱さないことが条件です。

留意点
永住権を取得すると、在留資格の更新が不要になり、職業や活動内容に制限がなくなります。ただし、一定期間国外に滞在する場合は再入国許可を取得する必要があります。


5. 資格外活動許可(しかくがいかつどうきょか)

概要
資格外活動許可とは、本来の在留資格の活動範囲外で仕事をする場合に必要な許可です。例えば、「留学」の在留資格を持つ外国人がアルバイトをする場合、この許可が必要です。

主な条件

  • 活動時間の制限
    留学生の場合、週28時間以内の労働が認められます。長期休暇中は1日8時間まで可能です。
  • 申請手続き
    出入国在留管理庁で申請し、許可を得る必要があります。

留意点
許可を得ずに活動を行った場合、不法就労とみなされるため、必ず事前に確認してください。


6. 外国人雇用状況届出(がいこくじんこようじょうきょうとどけで)

概要
外国人を雇用する場合、雇用主は厚生労働省に対して「外国人雇用状況届出」を行う義務があります。この届出により、外国人労働者の雇用状況が適切に管理されます。

主な内容

  • 届出のタイミング
    雇用開始時および離職時に、ハローワークを通じて届け出を行います。
  • 必要情報
    氏名、在留資格、在留期間などを報告します。

留意点
届出を怠ると、罰則が科される可能性があるため、雇用管理を徹底することが求められます。


まとめ

外国人労働者の雇用に際しては、在留資格や特定技能、技能実習、資格外活動許可、永住権などの基本的な用語を正しく理解し、適切に運用することが重要です。これらの用語や制度に基づき、外国人労働者が安心して働ける環境を整えることで、企業としての信頼性を高めるとともに、労働者の能力を最大限に引き出すことが可能になります。